悲しき建築士
「建築士」や「建築家」といえば、
"華やか"とか"カッコいい"とかいうイメージを
もたれることが多いように思います。
実際に、「世界のANDO」さんのように、経歴からしてカッコよく
バリバリ活躍されているスター建築家も存在しますが、
ほんの一握りの人たちです。
耐震偽装事件の姉葉さんは人間として堕ちてしまった人ですが、
あの人のニュースを笑えずに見ていた「建築士」は少なくないと思います。
名前の響きはいいものの、
現実の社会の中では決して地位を確立できていないのが、
「建築士」という職業の悲しいところだと思います。
先日、象徴的な出来事がありました。
ある銀行の住宅ローンのチラシに、借換えの商品を利用できる
個人事業主として以下の資格の名前が並んでいました、、、
医師、弁護士、公認会計士、税理士、司法書士、土地家屋調査士、社会保険労務士。
たくさん並んでいたのに、「建築士」はありませんでした。
確かに、ここで出ている資格の人たちの店や事務所は町でよく見かけますが、
「建築士」の事務所はそんなに目にしませんよね。
悲観的になってしまいますが、これが現実です。
皮肉にも姉葉さんの件で、建築士の仕事の重要性が再認識されたと思います。
人の命にも、街並み形成にも携わっているのです。
欧米では建築家は非常に地位の高い職業として確立していると聞きます。
姉葉事件以降、建築士の資格のあり方を見直す動きは出ています。
なによりも大切なのは、
建築や街並みに対する社会全体の価値観を変えることではないでしょうか。
建築士の地位の高さは、その国の文化レベルに比例するように思えるからです。